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東京地方裁判所 昭和39年(行ウ)2号 判決 1968年1月30日

原告 スガイ交通こと 須貝正

被告 東京都地方労働委員会

補助参加人 東京自動車交通労働組合 外一名

主文

被告が都労委昭和三八年(不)第二二号不当労働行為申立事件につき昭和三八年一二月一一日付でした救済命令のうち申立人平野信三解雇の日から原職に復帰する日までの間に受けるはずであつた賃金相当額の支払を命じた部分を取消す。

原告その余の請求を棄却する。

訴訟費用は参加によつて生じた部分を除いてこれを五分しその二を被告の、その余を原告の各負担とし、参加によつて生じた部分を五分しその二を補助参加人らの、その余を原告の各負担とする。

事実

第一当事者の求める裁判

原告代理人は、「被告が都労委昭和三八年(不)第二二号不当労働行為申立事件につき昭和三八年一二月一一日付でした救済命令を取消す。訴訟費用は被告の負担とする。」との判決を求め、被告代理人は、「原告の請求を棄却する。訴訟費用は原告の負担とする。」との判決を、求めた。

第二請求の原因

原告代理人は、請求の原因として、次のように述べた。

一  本件命令の成立

原告は、個人で約五〇名の従業員を雇用し東京都中野区新井町二丁目二〇番地において「スガイ交通」名義でタクシー業を営んでいるものであり、補助参加人平野信三は、昭和三五年九月原告に雇われ、自動車運転手として勤務していたが、昭和三八年一月一七日原告から解雇された。

ところが、平野は、原告を被申立人として、東京自動車交通労働組合(以下、東自交という)とともに、被告委員会に対し平野の解雇は労働組合法七条一号の規定に違反する不当労働行為であるとして同年五月一五日救済の申立をしたところ、被告委員会は、昭和三八年一二月一一日付命令書をもつて、「被申立人は、申立人平野信三を原職に復帰させ、解雇の日から原職に復帰するまでの間に受けるはずであつた賃金相当額を支払わなければならない。」旨の命令(以下、本件命令という。)を発し、その命令書は、同月一八日原告に送達された。

二  本件命令の瑕疵

しかしながら、本件命令は、次の理由により全部違法または、金員支払を命ずる部分のみが違法である。

イ  本件命令全部の瑕疵

被告は、本件命令において、原告が平野を解雇したのは、平野が昭和三七年一二月一日東自交に加入以来同僚にすすめて一八名を東自交に加入するにいたらせたことなどの組合活動の故をもつてした不利益取扱であつて労働組合法七条一号に該当する旨の判断をしているが、原告が平野を解雇したのはその組合活動の故ではなく、平野が昭和三七年九月九日と昭和三八年一月一三日との両度にわたり、先頭に立つて同僚と花札を用い一回約二〇〇〇円の金銭を賭け「オイチヨカブ」という賭博を行つたので、明示してある就業規則五七条の二及び五、服務規定二八にいわゆる「社内秩序又は風紀を乱す行為をした時」同規定四二にいわゆる「刑罰にわたる行為をした時」に該当するものとして懲戒解雇したものである。本件命令はこの点につき事実を誤認し、労働組合法七条一号の適用を誤つたものである。

ロ  本件命令のうち金銭支払を命ずる部分の瑕疵

平野信三は、解雇後昭和三八年二月一五日から同月二五日までの間訴外豊玉タクシー株式会社に臨時運転手として雇われて一万七、〇七六円の賃金を得たほか、同年五月一日から訴外東京都民自動車株式会社に運転手として雇われて月間一五乗務を行い、同年一二月末までは毎月四万五、〇〇〇円(税込み)、同三九年一月一日からは毎月五万円(税込み)の賃金を得ている。

右のように、平野が解雇後運転手もしくは臨時運転手として他に雇われ収入を得ているにもかかわらず、これを控除しないで、平野に対する賃金相当全額の支払を命じた点において本件命令のうち金員支払を命ずる部分は違法である。

三  以上の理由により本件命令は全部違法か、すくなくともそのうち金員支払を命じた部分のみが違法であるから、その取消しを求める。

第三被告の答弁

被告代理人は、答弁として、次のように述べた。

一  認否

1  請求の原因一の事実は認める。

2  請求の原因二のうち、冒頭の主張は争い、同イの事実のうち、被告が、原告主張のとおりの理由で本件命令をしたことは認めるが、その余は争う。平野信三は昭和三八年一月一三日スガイ交通仮眠所で他の者が賭博しているのを見ていただけである。同人に対する懲戒解雇は平野が昭和三八年一月二〇日に組合結成大会開催を予定していた労働組合結成準備活動の中心人物でもあるため、これをきらつて賭博行為に藉口してなされた不利益取扱である。ロの事実のうち、平野が原告主張の期間訴外豊玉タクシー株式会社に臨時運転手として雇われ原告主張の賃金を得た事実は認める。また、同人が現に東京都民自動車株式会社に運転手として勤務していることは認めるが、その給料額は不知である。

二  反論(請求の原因二ロの主張に対して)

解雇、ことに本件のごとく組合活動を理由とする解雇により、就業を拒否された者が、その解雇を争いながら、異常な努力によつて他に再就職し、これによつて得た収入は離職とは別個の原因すなわち、新たな雇傭契約を締結することによつて得た対価であるし、また、労働委員会の発する救済命令は、使用者の不当労働行為によつて労働者が不利益を受けた場合、労働者をすみやかに救済するため、不利益を排除してできるかぎりこれを原状に回復することを目的とし、その目的達成のために最も適当とみとめられる救済を与えるものであつて、もし労働者が解雇されなかつたならば当然うけたであろう賃金全額の支払を命ずることは当然の理である。また、労働委員会は労働者が他の職場で得た収入等の額を具体的に審査確定すべき職務権限を有しないものである以上、労働者が他で得た収入を差引いて賃金遡及支払を命じなければ違法であるとする原告の主張は理由がないといわなければならない。

第四被告補助参加人らの答弁

被告補助参加人ら代理人は、次のように述べた。

請求の原因二のイの事実のうち、「原告が平野を解雇したのはその組合活動の故ではなく、平野が昭和三七年九月九日と昭和三八年一月一三日との両度にわたり、先頭に立つて同僚と花札を用い、一回約二、〇〇〇円の金銭を賭け、オイチヨカブという賭博を行い、就業規則に明示してあるとおり賭博その他社内秩序又は風紀を紊す行為をしたものに該当するので懲戒解雇をしたものである。」という事実は否認する。同ロの事実のうち、東京都民自動車株式会社関係の事実は否認する。補助参加人平野は本件解雇後臨時運転手として同会社にも時折アルバイトに行つたことはあるが、本件解雇の問題を抱えているため、継続的に勤務することはできなかつた。およそ、タクシー運転手は継続的に勤務する場合でも一か月一三乗務である。原告主張のような一五乗務などということはあり得ない。賃金額も否認する。

第五証拠<省略>

理由

第一本件命令の成立

原告主張の請求の原因一記載の事実は当事者間に争いがない。

第二本件命令(全部または一部)の適否

一  本件命令全部に及ぶ瑕疵の有無

被告が、本件命令において、「原告が平野を解雇したのは平野が昭和三七年一二月一日東自交に加入以来同僚にすすめて一八名を東自交に加入するにいたらせたことなどの組合活動の故をもつてした不利益取扱であつて労働組合法七条一号に違反する」旨の判断をしていることは、当事者間に争いのないところである。

ところで、原告は、平野を解雇したのは、その組合活動の故ではなく両度にわたる賭博の故であるのに、本件命令はこの事実を誤認した違法があると主張するから、先ずこの点について判断する。

1  証人平野信三の供述の一部及びこれによつてそれぞれ成立を認める丙第三号証の一、二、同第四号証、原本の存在及び成立に、いずれも争いのない乙第一、二号証、証人西島章及び原告須貝正の各供述及び弁論の全趣旨によれば、スガイ交通に勤務する従業員らは従来、労働組合にほとんど組織化されていなかつたところ、交替で隔日一八時間、拘束一六時間の乗務をする自動車乗務A、B両班のうち、A班に属する補助参加人平野信三は、同班に属する運転手西島章とともに昭和三七年一二月一日各個人として東自交に加入し、他の従業員らにも同組合加入をすすめ、同年末までに主としてA班に属する約一四名の従業員が東自交に加入するにいたつた事実、他方、B班に属するスガイ交通従業員らのうちにも、訴外石原章を中心として、スガイ交通従業員のみを組合員とする企業内組合を結成しようとする動きがあり、組合運動に経験のある石原から平野らに対して昭和三七年一二月二九日頃共同結成を申入れてきた事実、平野は、かねて同月二五日頃、運転手中僅か四名の班長の一人として年末賞与金額に不満をもつ班員二十数名とともに原告にその説明を求めたところかえつて「班長なのに皆と一緒になつて何をいつておるのか」と怒鳴られたことから、団体交渉できるよう組合を結成しようと考えるに至り、同班の西島章、大谷武彦、内山義夫、B班の石原章、中村光明、笠原清一、平山金明らと数回協議し、「昭和三八年一月一二、三日頃までに準備委員六名を定め、同月二〇日スガイ交通従業員を構成員とする労働組合を結成すべきこと、執行委員長には平野信三、副執行委員長には石原章、書記長には西島章を選任すべきこと」を予定して、平山金明の司会により結成大会を開く手はずを整えた事実及び同月一五、六日には平野が中心となつて右組合加入申込者をつのり、スガイ交通従業員約五〇名のうち約三四名の署名を集めた事実、をそれぞれ認めることができる。証人平野信三の供述中右認定に反する部分は前顕丙第三号の一、二と対照して信用することができず他に右認定を覆えすだけの証拠はない。

2  次に、前顕乙第一、二号証、証人西島章、平野信三の各供述(但し、乙第一号証、証人西島の供述は各一部)によれば、補助参加人平野信三及び西島章は、昭和三八年一月一三日頃「スガイ交通」小野総務部長(原告の女婿)から「組合員名簿を見せてくれないか。」といわれてこれを拒絶し、その際、自分らが東自交に加入していることを同部長に告げた事実及び補助参加人平野信三は翌一四日「スガイ交通」支配人児玉繁夫から組合員名簿の提出を求められ、これを拒絶すると同人から「それではお前は組合をやめる気はないのか。」とたずねられたので「法律にもとずいて組合があるんだから、入るのも文句ないでしよう。」と答えた事実をそれぞれ認めることができるのであつて、(前顕乙第一号証及び証人西島章の供述のうち右認定に反する部分は前掲各証拠に対比してこれを認めることができない。)以上の事実を総合すれば、原告は、すくなくとも、平野が東自交に加入していること及びスガイ交通従業員らの東自交加入、組合結成に関係していることを本件解雇前に知つていたことを窺うことができる。原告須貝正本人の供述中右認定に反する部分は信用しない。

3  また、前顕乙第二号証、証人平野信三の供述の各一部同証人の供述の一部によつて成立を認める甲第五号証の五、証人矢萩忠作、石川元啓及び原告須貝正本人の各供述によれば、補助参加人平野信三が、昭和三七年九月九日スガイ交通事務所二階仮眠室において西島らとともに花札を用い約二、〇〇〇円を賭け賭博をし、その後始末書を原告に差入れて将来にかかることのない様誓約したのみならず、同年一〇月頃原告から、朝礼の際、「賭博をした者は厳しく処分する」旨繰返し注意を受けたに拘らず、昭和三八年一月一三日スガイ交通整備員室において矢萩忠作らとともに花札を用い約二、〇〇〇円を賭け、賭博をした事実を認めることができる。前顕乙第二号証及び証人平野信三の供述中右認定に反する部分は信用することができず、他に右認定を左右するに足る証拠はない。

4  更らに、前顕乙第一号証、丙第四号証、証人西島章、矢萩忠作、平野信三、内山義夫、原告須貝正本人の各供述(但し、証人矢萩忠作、原告須貝正本人の供述は各一部)によれば、原告は、昭和三八年一月一七日、前記訴外石原章が前年約六か月間病気入院後全治して出勤、既に業務していたに拘らず同人に対し「身体が弱い」という理由で三か月間無給休職を命じ、次いで同月二三日同人が従来月一五〇〇円の手当を受けて期間の定めなく勤めていた副班長の職位を期間終了を理由として解き、翌二四日同人に代えて、「スガイ交通」労働組合結成加入申込書に署名しながら結成加入に参加しなかつた訴外矢萩忠作を副班長にしたこと、昭和三八年一月二〇日に予定されていた「スガイ交通」労働組合結成大会は、同組合に結成参加の意思を飜えす者が多く遂に行われなかつたこと、及び同月一三日の前記賭博に加わつた者のうち、解雇された者は結局平野信三だけであつたこと、をそれぞれ認めることができる。証人矢萩忠作、原告須貝正の各供述中右認定に反する部分はこれを採用することができない。

以上1ないし4の事実関係を考えあわせると、補助参加人平野信三が前記のとおり繰返さないことを誓い、原告からも厳罰を警告された賭博を重ねてしたことは事実であるけれども、原告はこれに藉口して本件解雇に及んだものであつて、本件解雇の真の原因は平野が行つた前記一の1記載の組合活動、すなわち「スガイ交通」従業員らに東自交加入をすすめた行為、及び昭和三八年一月二〇日を目途とする組合結成準備行為にあること及び平野に対する処遇が前記訴外石原章の場合の如く単に班長を解くだけにとどまらなかつたのは、平野がやがて結成を予定された組合の役員中最高位を占むべき執行委員長の候補に擬せられていたからであることをそれぞれ窺うことができる。従つて、原告が昭和三八年一月一七日平野信三を解雇したことを同人の組合活動等の故による不利益取扱であると判断した本件命令に事実を誤認した瑕疵があるという原告の主張は失当であつて排斥を免れない。

二  本件命令中金員支払を命ずる部分のみの瑕疵の有無

平野信三が本件解雇後、昭和三八年二月一五日から同月二五日までの間豊玉タクシー株式会社に臨時運転手として雇われて一万七、〇七六円の賃金を得たことは当事者間に争いがない。しかし、同人が原告主張の期間東京都民自動車株式会社に運転手として雇われて原告主張の金額の賃金を得たことについては、これを認めるに足りる証拠がない。

ところで、前顕乙第二号証によれば、平野信三は、昭和三八年一月一七日の本件解雇当時「スガイ交通」の運転手として班長手当三、〇〇〇円を含め月一三出番のうち九出番ないし一〇出番乗車し、あとは内勤して一か月平均四万円の賃金を得ていた事実を認めることができるから、前記豊玉タクシーから得た平野の賃金は、すくなくとも「スガイ交通」における労働に匹敵すべき労働を提供することによつて得られたものであつて、決して本件解雇がなくても取得し得べき副業的な収入ではないと認めるのが相当である。

しかるに、本件命令が原職復帰のほか「解雇の日から原職に復帰するまでの間に受けるはずであつた賃金相当額を支払わなければならない。」と命じ、原告に本件解雇後前記平野信三が前記豊玉タクシーから得た収入を控除しない賃金の全額の支払を義務ずけたことは、違法であるといわなければならない。

何故ならば、労働委員会による不当労働行為の救済は、不当労働行為及びこれによる結果を排除し、申立人をして不当労働行為がなかつたと同じ事実上の状態を回復させることを目的とするものであつて、もとより申立人に対し不当労働行為による私法上の損害の救済を与えることや、使用者に対し懲罰を科することを目的とするものではないから、私法上の法律関係の判定を職責としない労働委員会として相当賃金額請求権存否の審査に立入るべき限りではなく、従つて賃金相当額を具体的に明示する必要もないが、いわゆる賃金遡及支払を命ずるにあたり、もし当該労働者が遡及払期間中他の職について得たいわゆる中間収入のあることが明らかなときは、それが副業的なものであつて、解雇がなくても当然取得できる等特段の事情がない限り、これを遡及払金額から控除しなければ、その限度において救済命令は、原状回復という本来の目的を逸脱するものと解すべきところ、豊玉タクシーから得た中間収入が副業的収入と認められないこと前示のとおりであり、他に右収入を遡及払賃金額から控除しなくてもよいと認むべき特別の事情は見当らないからである。

被告は、右中間収入は離職とは別個の法律的原因によつて生じたものであるから、控除すべきでない旨主張するけれども被告委員会の救済は、民法第五三六条等私法上の法規の解釈に依拠してその要否を決すべきものではなく、現実に当該労働者のこうむつている不利益を排除してできるかぎりこれを原状に回復しようとするにとどまるものであるから、その労働者にとつて賃金不払のなかつた状態を回復させる限度をこえる救済命令は、救済の目的を逸脱するものであつて、許されない。それ故、被告の右主張は理由がない。被告はまた、原状回復の目的を達するためには、当該労働者の受くべかりし賃金全額の支払を命ずるのが当然であると主張する。しかし、右主張は、原状回復がもつぱら労働者の側における原状回復を目的とするものであることを忘れたものであつて、到底採用し難い。その労働者が解雇期間中他の職について得た収入がある場合に賃金相当額の全額の支払を命ずることは、その収入が副業的なものであり、解雇がなくても当然取得できる等特段の事情がない限り、前記の意味における原状回復の目的を超えるものであつて、使用者に無用の負担を課するにすぎない。更に、被告は、労働委員会としては、労働者が他の職場で得た収入等の額を具体的に審査確定すべき職務権限を有しないものである以上、労働者が他で得た収入を差引いて賃金遡及支払を命じなければ違法であるとはいえないと主張する。なるほど、労働委員会がいわゆる中間収入を具体的に金額を以て確知することは困難なことが多いであろう。しかし、救済命令に賃金相当額を明示する必要のないことは前段に述べたとおりであるから、いわゆる中間収入の存在が明らかな以上は、その額を確定しなくても、賃金相当額からその中間収入を控除した金額を支払うべき旨の命令を発するのにそれほどの困難はない筈である。そして、これをするのに必要な範囲での審査の職務権限は当然被告委員会にあると解すべきである。

してみれば、被告が本件命令において補助参加人平野信三の前記中間収入を控除せず「解雇の日から原職に復帰するまでの間に受けるはずであつた賃金相当額」全額の遡及支払を命じたのは違法であるというべきである。

第三取消の限度

本件命令のうち前記部分は前記中間収入を控除しない点において違法であるけれども、これを全部控除するか或は右中間収入を得るため特に必要とした費用、増加した費用、労働の量、質等を考慮して一部控除するにとどめるか等の裁量はもつぱら労働委員会の権限に委ねられていると解するのが相当であるから、当裁判所がこの点の裁量をして本件命令のうち金員支払を命じた部分を裁判所において変更することは許されず、右部分は全体としてこれを取消すほかないものというべきである。

第四結論

よつて、原告の本訴請求は、本件命令のうち、申立人平野信三解雇の日から原職に復帰する日までの間に受けるはずであつた賃金相当額の支払を命じた部分の取消を求める限度で正当として認容し、その余の請求は理由がないものとしてこれを棄却することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法九二条本文、九四条後段、九三条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判官 川添利起 園部秀信 西村四郎)

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